単刀直入に言う。
人生で最も重要な決断は2つある。一つは「誰と結婚するか?」もう一つは「どんな職場を選ぶか」。どちらも人生で最も長い時間を共有するもの。きみの人生全体を考えれば、結婚相手と共有する時間、仕事に費やす時間は人生の1/3を占める。なので、自分の価値観に合うか、楽しめているか、充実しているか、やりがいを感じている、などいろんな観点からもこの2つ以上に重要な決断はない。といっても過言ではない。
つまり、人生で「職場選び」ほど重要な決断はない。
そして、悪いニュースだが、統計上、ほとんどの人は職場選びを間違える。せっかく国家資格をとって入職した職場でも、3年以内に3人に1人が辞める。じゃあ残りは?辞めるか辞めないかではなく、残った人たちは充実しているのか?これで良かったと思っているのか?後悔していないのか?おそらく理学療法士になって「こんなはずじゃなかった」と思う人も多いんじゃないだろうか?
ではどうすれば、重要な「職場選び」を間違えないのか?
残念ながら、簡単な方法などない。なぜならきみは、そのような教育を受けていないからだ。PTの他に、世の中どんな仕事があるのか?その仕事はどんな能力、才能、向き不向きがあるのか。全く知らないだろう。そして、自分自身のこともよく知らない。自分に何ができるのか?自分に何が向いているのか?自分の才能は?強みは?そんなことを考えることも、教えてくれる人もいない。
しかし、知らないからと言って落ち込む必要はない。みんな同じである。きみと同じく20代の人は、就職はしてみたものの、自分にどんな才能があるかわからず、社会で通用するかわからず、不安ばかりで自信などない。それが普通である。大事なのは、これからどんな選択をしていくかだ。
ところで、よく考えてほしい。そのような何もわからない状況で、人生で最も重要な選択を正しくできると思うほうがおかしくないか?
おかしいのだ。
確かに、PTにあこがれて、その仕事を志す。しかし、現場がこうなっているとは誰も教えてくれない。おそらく、就職の段階で自分に合って職場で働ける可能性は5%以下じゃないだろうか?現実には、実際にやってみるまではわからない。
じゃあどうすれば良いのか?
これからPTになって、何も知らない今、自分に何ができるのだろうか?だが、答えはない。きみの人生で最も重要な答えを他人が教えてくれるなんて、そんな虫の良い考えは止めたほうが良い。きみの人生は自分で切り開くものだ。そうだろ?しかし、そんなことを言っては元も子もないので、、、
彼は、自分で理学療法士の道を志した。そして、誰もがうらやむ安定した公務員の理学療法士になれた。そこに就職できれば一生安泰といえるような職場で親や親戚も喜んだ。しかし、いざ働きはじめてみると、恐ろしい事実に出くわした…。というのもこの職場が嫌で嫌で仕方ないのだ。
休日セミナーに行って治せる患者が増えても認められない。昇給は一生ない。やりたい治療ができない。治らない治療を強要され、上司は患者に対する情熱は冷めきっている。5時に帰ることだけ考えている。しまいには「どうせ給料あがらんから、サボったほうがマシ」なんて言い出す。しかも同僚もそんな雰囲気だ。そのくせ偉そうな態度をとっている…。
自分は何のためにこの仕事を選んだのか、これが現実なのか?と思うときすらあった。しかし、そんなのはよくある話で、恐ろしいと思ったのはここからだ。彼は超安定した公務員を選んだので同年代に比べれば収入もそこそこ良く、休みも多かった。しかし、ここにいては腐ると思って病院を辞めようとしたが、、、この職場を辞めて他に移ってもたいして変わらない、、、という事に気がついたのだ。この業界でやっている限りは、一生昇給しない、スキルを身に着けても認められないということに気がついたのだ。完全に保険診療という枠組みに依存している自分に気がついたのだ。
なので転職するとしても、医療から保険に変わり、急性期から維持期に変わるぐらいの変化しかない。つまり、保険の中でやっている限りは、現状はほとんど変わらず、転職したぶん、院内でのグレードが下がることを意味していた…。幸い、彼はまだ独身だったので、それでも意を決して辞めることにした。
ーーーが。次の職場で多少給与はUPしたものの、地獄のような日々はまた繰り返し、将来に絶望していた…。その時彼には選択肢はなく、公務員で働いていた時間は無意味になり、(きみと同じように)ゼロから再スタートするしかなかった…。
考えてみてほしい。たいていの人はこのような事が結構な確率で起きるとは思ってもいない。しかし、かなり高い確率でこのような事は実際に起きる。もし、このような現実が「ありうる」もんだと想定していたなら、、、この業界に入って3年後、5年後にどうしようもなくなっている、、、という状況は回避できたんじゃないだろうか。
「自分は間違える」と思っていたらどうなるだろうか?優秀なあなたは必ず「間違えた時」のプランを想定するだろう。だから、最初の職場ですぐさま「間違えた」と思ったら、そのプランを実行に移すことができるように、準備ができていたんじゃないだろうか?
僕の個人的な経験から言えば、20代は間違い続けるだろう。なぜなら20代はまだ、この業界にどんな職場があって、どんな仕事内容が自分に向いているのか、自分は何がやりたいのか?などがわからない状態だ。
しかし、20代でよくわかないががむしゃらに働くことはとても大事だ。なぜなら、20代の仕事のやりかたはその後のきみの基準になる。一度つくられた基準は30代40代で覆すことはほとんどできない。率直に言えば、20代で手抜きをしてきた人はスグにわかる。30代40代になってもその影響は残っていて、残念ながら”仕事のできないヤツ”になっている。なので、20代は自分を知り、実力をつけることがとても大切だ。
ここでオモシロい言葉を紹介しよう。きっときみも小学校のころに習ったことがあるんじゃないだろうか。孔子の言葉だ。
吾、十五にして学に志す。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順う。
七十にして心の欲する所に従えども、のりをこえず
論語より
まぁ、50以上はいいとして、、、十五にして学問に志すというのは、きみたちが学校で勉強してきた学問もそうだが、孔子の時代にそんな贅沢はなく、実際は実務的、専門的な知識を学びはじめた・・・という事だ。三十にして立つというのは、精神的な立場を確立したということで、四十にして惑わずとは、モノゴトの道理も分かり、自分の生き方に対して疑いや迷いがなくなったという事だ。
要するに自分の人生に迷いがなくなるような状態になるのは四十歳くらいと、あの天下の孔子様ですら言っている。ので、きみたちに迷いがあって当然という事だ。そして大切なのは、十五にして学に志す。つまり、これは十五から三十の間は、実務的な専門技術・スキルを身につけなさい。という意味に解釈できるだろう。
そうする事によってその後の人生の選択肢が増えるし、実務スキル、専門スキルがあれば、病院に依存せず自立することもできる。(病院に依存してしまうと、どんなに嫌いな仕事でもそこから抜けられなくなる。そして病院が潰れたら、同時にきみの人生も潰れる。今は想像もつかないかもしれないが、きっときみも結婚して家庭を持つだろう。子供もできるだろう。そのような状態になったら、病院依存状態では、ほぼ絶対に抜けられないと言っても過言ではない)
なので、ぼくがオススメするのは、仕事選び、職場選びをする時には、「一生そこで働ける安定した場所」を探すのではなく、一生そこで働くつもりなどはなから持たず、二〇代のうちだけ修行できる「実力がつく場所」を選ぶことだ。それも最初の5~10年くらい修行して、実力をつけ、そして何が自分に向いてるか?世の中にはどんな仕事があるのか?などを学び、それから、自分は何をやるべきか?という事を考える方がいい。
この教科書を書いた、正直なところの狙いを告白する。目的は2つ。
①一つはこれから施設で働くあなた、人生で最も重要な決断である「職場選び」や「キャリア形成」をするあなたに少しでも役立つ情報を提供すること。
②もう一つは「理学療法士になったら絶対に成功したい!」と思うような意識の高い人に、うちの会社のことを知ってもらい、興味を持ってもらうこと。
事前に公開しておくが、本書で紹介する判断基準や仕事のヒント、考え方などは、著者個人の理学療法士としての病院での勤務経験や独立開業から会社経営までの人生経験、社長としての仕事経験の中で培ってきたもの。
この業界のキャリア形成で失敗しないための現実的な意見を書いた。どんな施設に就職するにしろ、知らないよりは知っていたほうが絶対に役に立つ。
藤井翔悟
理学療法士。株)藤井翔悟 事務所 代表取締役社長。これまでに類を見ない長音波画像診断装置を使った徒手療法のstudyを展開し、学会発表と研究に意欲的に取り組む。医師と連携し運動器画像を根拠にfasciaを中心に徒手治療アプローチを展開。安価でありながら高品質の治療内容を多くの患者様に提供。海外medicaldoctorに推薦をもらうほどの実力者。経営者としては登記3年目の若干29歳で年商10億を超える事業に成長させる。日本全国の医療従事者10万人に多大なる影響を与えている。
論文:徒手療法前後での筋硬度の変化に対する超音波エラストグラフィを用いた定量的評価の試み
英論文:Quantitative evaluation using ultrasonic elastography for the assessment of changes in muscular rigidity after manipulative therapy
Quantitative evaluation by using ultrasonic elastography for the muscular rigidity change by manipulative therapy
アメリカ合衆国
メディカルドクター
Dr.Naoto Hashimoto
講習会 | |
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受講方法 | 関東 関西などで開催 |
費用 | 0円~29,800円のいずれか |
講座内容 | 運動器領域の疼痛緩和に必要な徒手療法、知識・ノウハウの提供 |